日常会話で頻繁に使われる「慣用句」。多種多様の慣用句がある中で、その膨大さゆえに間違った使い方をされている慣用句が多々あります。今回紹介する「涼しい顔をする」もその代表例に挙げられるほど誤用が多い慣用句です。もちろん時代がたつにつれ、日本語の意味が変化してきたという歴史もありますが、知人やご友人との会話で両方の意味を知っていることはとてもアドバンテージになるでしょう。

それでは「涼しい顔をする」の本当の意味を見ていきましょう!!ぜひご友人にも広めてみてくださいね!

「涼しい顔をする」は「大変な状況なのに余裕そう」であってる?

「あの先輩、仕事量も私たちより多くて絶対忙しいのに、いつも涼しい顔して仕事こなしているよね...。」

さて、みなさんはこの文章を見てどう思いますか?意味も通ってるし不思議ではない?何か分に違和感がある?なにがおかしいの?いろいろな方がいらっしゃると思います。実際日常でこのような使い方をしている人も少なくないのではないでしょうか。

結論から申し上げるとこの文章での「涼しい顔をする」の使い方は間違っています

この「涼しい顔をする」という表現、現在の日本人のほとんどが上記の例文のように、「本当は大変なのに余裕そうに、平気なふりをしている」という意味で誤用してしまっています。「あれ、私今までこの意味でしか使ったことない...。」という方や「この意味が正しいと思ってた。」とびっくりされた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

「涼しい顔をする」は、自分に関係があるのに知らないふりをしている?!

それじゃあ「涼しい顔をする」の正しい使い方はどのようなものなのでしょうか。正しい例文を一つ上げて解説していきましょう。

「あの先輩のミスで会社に多大なる損害が出たのに、当の本人の先輩は涼しい顔をしている。」

正しい使い方が何となく理解できたのではないでしょうか?

「涼しい顔をする」の本来の意味は、

「自分に関係があることなのに、知らないふりをしている」

という意味なのです。

誤用している意味とは180度違い、ネガティブな意味合いで使われる表現なのです。しかしながら、令和4年度「国語に関する世論調査」によると、正しい意味で理解している人の割合が22.9%であるのに対し、誤った意味を正しい意味とした人の割合が驚くことに61%もいるという結果が出ています。誤用しているほうが多数派になってしまっているという現実はどこか少し悲しい気持ちを覚えてしまうものですね…。

”正しい日本語”をしっかりと理解して、正しい知識を増やし蓄えよう

冒頭でも少し触れましたが、日本語に限らず言語というものは時代をかけて変化していくのが常です。変化すること自体が一概に悪いことではなく、変化することによって今の日本が生まれた側面もあります。しかし、社会で誤用されている言葉の本当の意味や、その表現が生まれた経緯などを尊重することも大事ではないでしょうか。

私のおすすめの漫画で慣用句が勉強できる「ちびまる子ちゃん」の慣用句辞典もぜひ購入してご自身やご家族の知識の糧にしてみてくださいね。

間違いを知るということは自分の恥ずかしい場面を回避できます。大切な相手や、目上の人、面接など言葉の端々でその人の成りを判断される場面でマイナスな評価を受けないよう正しい日本語をまなぶことをやめるのは少しもったいないですね。

ぜひこの機会に正しい日本語について学ぶ機会を設けてみるのも一興ではないでしょうか。

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